2019年02月02日

第2章 第2話 さよならカイリキー

「ま、まさか、こ、この俺が、敗北するとは、しかも始めてまだ1ヶ月の若者に、クッ…クワッ、ブゥ」

他の対戦宅から誰かが若者に声をかける

「よう、どうだった?」
「ん、あぁ、勝ったよ」
「おっ、すげーじゃん」
「いや、相手さん事故ったみたいで」

いや、違う、事故ってなんかいない、序盤の展開は悪くない流れだった。
相手の繰り出すポケモン、グッズ、サポート、スタジアム、どれに対しても有効に対処できなかっただけなんだ。
なによりこのレベルの速さを俺はしらなかった、完敗だ。

なすすべなく敗れ去った後に残った感情、それは諦めだった。
もう無理だ、この環境で自分は生き残っていけない。
何が悪いのか、何が足りないのか、そのヒントを見つけることさえ出来なかった。

「ありがとうございました」

俺はこの言葉を誰に言ったのだろうか、何に対して言ったのだろうか。
対戦相手か、敗北に対してか。
それともこれまで共に戦ってきた友、カイリキーに対してか。
ふと口にした言葉に対し、自ら意味を探る、それほどまでの敗北だった。

我に帰り周りを見渡すと、顔見知りのプレーヤー達はまだバトルの最中だ。
当たり前だ、こんなに早く試合を終えたやつなんているわけが無い。
何か一言挨拶をと立ち上がったのだが、それももういいかと思い店の出口に向かった。

「ありがとうございました」

店員が会釈している。
あれはきっと俺に言ったのだろう。
だが何故そう言ったのだろうか、もう2度と来ることはないだろうに。
いや、だからこそか。


それから何もない毎日が始まった。
更新を楽しみにしていた公式サイト、タイムラインに流れるツィート、ラインの通知、全てを知らなかった頃のように過ごす。
何かに追われることがなければ、時間をゆっくりと感じられる。
その場に立っていても遅れることはない。競うことが無ければ強くなる必要もない。
そうだ、強くなる必要は無いんだ。
それに戦わなければ負けることもない。
大切な友を傷つけていたのは弱い自分だから、戦わないほうがいいんだ。

あれから1度もデッキケースからカードを出していない。
もう終わった事なんだ。


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Posted by クラクラマスク at 19:18│Comments(0)駄話
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